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「あ…。あの日は本当にありがとうございました。おかげで無事に試験を受けることが出来ました。」
本当に困っていたところに通りかかり、助けてくれた宙は天にとって恩人である。
ぺこりと頭を下げる天にそんなに律儀にしなくていいのにと笑う宙。
「敬語じゃなくていいよ。同級生なんだしね。改めてまして、僕は皆川宙。今日はあの日聞けなかった君の名前を聞いてもいい?」
「うん!僕は皆瀬天。同じそら同士よろしくね!」
奇しくも同じ名前の読みであった2人。
新入生代表挨拶で名前を聴いていた天は、びっくりしたでしょ?と言いたげに宙を見つめる。
宙は丸くした目で天を見つめ、しばらくして同時にふっと吹き出した。
同じ名前!っとひとしきり笑った後、宙は同じ名前だと自分を呼んでるみたいでなんか恥ずかしいなぁ……と呟きながら提案する。
「君もそらっていう名前だったんだね………。そうだ、僕は天くんのこと天ちゃんって呼んでもいい?」
「うん!なら……僕は宙くんのことなんて呼ぼっかな………。」
天はよくテンとも呼ぶため読み方を変えるだけで良さそうだが、宙はソラ以外にはチュウと読むことが多く、呼びにくい。
うーん…と小さく唸る天。
「なら、宙なんでどう?確か人の名前の時、宙はミチって読んだりした気がするし…。」
自分しか呼ばないお互いの呼び方みたいでなんかいいなと天は胸の奥の方が暖かくなるような気がした。
「宙くん……うん!1年間よろしくね、宙くん!」
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