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「おはよーー!」
教室に辿り着くとクラスメイトはちらほらと到着しており、宙も既に到着している。
「あっ、おはよう天ちゃん。それから…津田くん?だったっけ?」
そうか、2人は初対面……いや、クラスで自己紹介はあってるんだし、初対面では無いか……?と天はどうでもいいことを考える。
「はよ。津田であってるよ。津田旭。天とは幼馴染。よろしく、皆川。」
「よろしくね、旭くん。」
その間に2人は自己紹介を済ませる。
天と2人の時よりはどこか刺々しい旭の態度であったが、初対面であると考えれば妥当なもので、それを知らない宙はもちろん、知っている天でさえも違和感の無い挨拶だった。
「おはよぉー、宙くん!」
それからしばらく中学生活の事など3人で話していると、天達が登校して10分ほど経って秋がやってきた。
「おはよう、秋。」
「おはよー、横倉くん。」
「……………..。」
ちらりと天の方を見やった秋だったが、秋は直ぐに視線を宙に戻す。
「ほら、秋。」
「おはよ……。」
宙に促され、渋々といったふうに挨拶をする秋と、そんな秋の様子に苦笑する宙。
「ごめんね。これでも反省してるから、許してあげて。」
「うん。全然気にしてないし、大丈夫だよ。横倉くん、よろしくね。これから仲良くなれたら嬉しいな。」
ニコッと天が笑いかける。
「秋。」
聞こえるか、聞こえないかの小さな囁き。
囁く秋の耳たぶが赤く染る。
「……?」
案の定天には聞こえなかったようで、聞きかえす。
「秋でいいって言ってるの!」
耳どころ顔まで赤くした秋はそっぽを向きながら吠える。
その様子はなかなか素直になれない子猫のよう。
そんな秋の様子に仲良くなれそうな予感のする天は、よろしくね、秋くん!と笑いながら言うのだった。
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