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「旭、次の授業ってなんだっけ?」
「数学。課題あるけど大丈夫か?」
「あ!!忘れてた!当てられたらどうしよう…。」
「天ちゃん、まだ時間あるし僕の写したらいいよ。」
「ありがとう、宙くん………。」
「課題忘れるとか馬鹿じゃん。」
「帰るまでは覚えてたんだよ………。」
入学から2週間が経ち、学生たちも授業のある日々に慣れてくる。
入学式の次の日に挨拶を交わしてから4人でいることが多くなった旭達はおっちょこちょいな天をフォローしながらいつもになった日常を送っている。
「そういえば秋、そろそろじゃない?」
慌てて宙のノートを写す天を横目にノートを写すと言えば…と宙が秋に尋ねる。
「うん。多分来週くらいからだと思う。またノート見してくれる?」
「うん。もちろんだよ。」
「ありがとぉ。」
2人の会話にノートを写すことに必死だった天が、話の流れについていけず思わず手を止める。
「なんのこと?」
「天、お前はもうちょい空気を読んで察することを覚えろ。」
呆れたように呟く旭に目を白黒させる天。
「ふぇ?分かってないの僕だけ?」
「発情期だよ、馬鹿!」
呆れた表情の秋はポコっと力の入っていない拳で天の背中を叩きながら囁く。
本来発情期の時期を聞くことはマナー違反であり、それをぼかして会話していたにも関わらずそれを察することが出来ない天に3人は苦笑する。
「ふぁ!ご、ごめんね秋くん……。」
「ほんと、察し悪すぎ……。まあ、来週から1週間は居ないから、ノートとかちゃんと取っててよね。」
「うん!」
そんなこんなしているうちに休み時間の半分が過ぎ、時間もなくなってくる。
「ほらほら天ちゃん、そろそろ真面目に写さないと先生来ちゃうよ。」
「うわっ!ほんとだ!!やばいよー。」
数学の先生怖いのに……と半泣きな天は、とにかく終わらせようと手を動かす。
「ほんと馬鹿なんだから…。」
そんな天を見つめながら呆れたように呟く秋は少しだけ嬉しそうだった。
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