Anfang〜はじまり〜

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この世界に出現した第2の性はα、β、Ωの3種類。 αは整った顔立ちで、文武ともに優れていることが多く、主に一流企業の役員や会社経営、政治などの世界で活躍している全人口の約1%を占める性である。 一方Ωはどこか儚げな容姿を持ち、勉強や運動を苦手としている者が多く、βと共に企業で働く他、芸能界や芸術の世界で活躍している。3ヶ月に一度1週間の発情期を迎え、抑制剤がなかった30年ほど前までは発情期中に出るフェロモンにより他の性、特にαを誘惑してしまうことから差別が酷い状況にあったが、現在では抑制剤の普及や少子化対策や人権問題に対する政府の施策により差別は減少している。しかし、未だに差別は残っている現状にある全人口に1%未満しかいない性である。 αとΩは特別な関係性、"番"になることができ、αがΩの頂を噛むことで生まれる関係性である。これによってお互いのフェロモンにしか反応することがなくなるが、番関係はα側からは解除できるため、αがΩを強制的に番にし、その後関係を解除するという事件も稀では無い。そのためΩは頂を守るため首にプロテクターをしていることが多い。 βはそれ以外の者。100年前から存在している最も普遍的な性。人口の98%以上を占める性。 これらの性の中で天はβ、旭はαに属している。 様々な恋愛の形態が認められるようになったとはいえ、未だにβの世界では恋愛は男女でするという認識が強い。 βである天にとってαとΩの関係は自分とは深い関わりのあるものではなく、自身の容姿が同性から性的な対象と捉えられることがあるとは考えていない。 そのため、天が無防備であることも無理のない話なのである。 そんな危機感のかけらもない天をずっとそばで守ってきた旭。 いつまでも危機感を持たない天の様子に心の中で溜息を吐きながらも待ち合わせの時間を強引に決め、早く寝るよう声をかけ部屋を去るのだった。 旭に迷惑をかけないために少し早起きしてから学校に向かおうと計画する天の考えには気づかず...。 そして受験当日の今日、少し早めの7時30分には家を出た天は駅からの道中で迷子になってしまったのだった…。
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