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「クラス発表は……あっちみたいだな。」
「うわっ。人多すぎじゃない?」
新入生でごった返す澄桜学園の校門に到着した天達はさらに混雑している昇降口方面を見ながら会話する。
澄桜学園では例年起こるこの混雑を緩和するため、保護者と学生が会場へ入場する時間をずらして設定しているのだが、それを律儀に守る者は少なく、毎年保護者と学生が校門付近に溢れる状況が起こっている。
「なんかこれ、お母さんたちと来ても良かったよねー。」
「それな。」
律儀にルールを守った天たちは苦笑いを浮かべながらクラスを見るため昇降口へと向かった。
「旭……クラス、見える…?」
少しばかり背が低い天には同世代の男共がごった返すクラス発表の掲示板を見ることが出来ず、頭1つ分背の高い旭が掲示板で2人の名前を探す。
「えーっと……おっ!俺ら同じクラスだぞ。A組。」
「やった!良かったよー。旭と一緒で。」
ふわりと花がほころぶように笑みをこぼす天。
それを見た旭や周囲の男共が顔を赤くしていること、そして高校に入学早々男共に密かに狙われる存在になったことに天が気づくことはなかった。
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