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1日目
ーおい
賑わう商店街の雑踏の中、
左手に持ってる揚げたての唐揚げがいくつか入ってるカップの伝わる暑さと、今しがた口に入れたソレの熱さを何とかやり過ごしながらパクつく。
ーおい
アカン、こりゃたまらん♪
唐揚げの肉汁が
肉の柔らかな弾力が
肉の旨味と皮のパリパリな食感が
口いっぱいに広がり
空腹な僕をあっという間に虜にした。
それからは夢中でほうばり続ける。
ー ・・・・・
カップの底の残り1つになった唐揚げに
楊枝を刺して、これが最後かと惜しむ気持ちで
口に入れようとしたその瞬間、
ーヒュッ
耳のソバで風を切るような音と
目の端で捉えた黒い残像・・・・。
ー???
口の中にあるはずの唐揚げの感触はなく、
一瞬の出来事に何が起きたか頭もおいつかない。
食いしん坊ではないが、最後の1つまで食べられる満足感が失われ肩透かしをくらったような
寂しさに似たモヤモヤだけが残った。
そんな気持ちをなだめて現実的な可能性を探す。
ー ・・・落としたかな?
この場で1番ありそうな事に思い至り、
視線を足元に移す。
見当たらない。
離れた所まで転がったかも。
身を屈めて、辺りをよく探すがやっぱり見当たらない。
立ち上がり、辺りを改めて見回す。
と、目の端にまた何かを捉えて
今度こそ、それの正体を確かめようと首を其方に向けた。
ー・・・・。
ヤケにまん丸な人間の目とは違う光を宿した獣の目を見つけた。
耳をピンと立て
しなやかな体躯を4本の足で支えて、
そいつは僕を真っ直ぐに見つめていた。
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