1日目

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猫の言葉を聞いた直後... 商店街からどうにか帰って、 頭が真っ白なまま キッチンを目指して走る。 母親の顔を見てすぐ「猫がしゃべった」 と話した。 汗だくな僕を見て母がした事はまず、 冷蔵庫の作りおきの麦茶のボトルを出してコップに注いで、飲むように促した。 それに従って素直にコップに口をつけ飲み干す。 「なんて?」 母が聞き返してきた。 「猫がしゃべった」 その瞬間、母が離れてまな板で野菜を切り始めた。 僕に背を向けたまま 「バカ言ってないで手洗ってきなさい」 と興味無さを隠さないで冷たく言った。 其れからは何度も自分に起きた出来事を 聞いて貰おうと試みても、母親が自分の話に 聞く耳を持ってくれる事はなかった。 その後帰宅した父にも何とか話を聞いて貰おうと 頑張ったが、「猫がしゃべった」の一言で 興味を無くして新聞に目を落とし、食卓に食事が並ぶまで顔を上げることはなかった。 大人達の態度に心底怒りを覚えた僕は 自室に引きこもった。 間もなく母が食事の用意ができたと 自室の扉の前で声をかけて来たけど、シカトを決め込み自分の機嫌を損ねたんだということをアピールしたのに 僕が部屋から出る気配がないと感づいたらしいので、母が謝って自分の機嫌伺いをしてきたなら許してやっても良いかな その後 話せなかった話を話してもいいとすら思ってたのに ベッドから扉の外の様子を伺ってたら アッサリ引き下がってキッチンに戻っていく! 誰かに聞いて欲しいのに、 もしかしたら大変な事に巻き込まれてるのかも知れないのに、大人達は自分を子供扱いで話をマトモに聞いてくれない腹立ちや悔しさでどうにかなりそうだった。 どうにも治らない怒りを静める為、僕が取った行動 それはー 普段、夜止められていたポータブルゲーム機を勉強机の横の棚から取り出して電源を入れる事。 液晶にゲームが表示されると、あっという間に 現実から解き放たれてゲームに没頭できた。 まだ、中学生になりたての自分にできる 細やかな抵抗?なんてこんなくらいしか思いつかないんだから仕方ない。 それからは母親が食事に再び呼びに来ようが 風呂に入れと言ってこようが、我関せず。 そうして夜は更けて、夜更かしに成功したのだった。
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