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子育ては大変!
「ねえ聞いて。今日はさくらの機嫌が悪いことが多くって……。大変だったんだから。」
「お隣の佐々木さんの奥さん、いっつも自慢話ばっかりで、疲れちゃう。」
「まゆちゃんママはお姑さんがいちいち小言を言ってくるんだって。大変よねー。」
夕飯の時間、私は友哉に話しかける。
「ふーん。」
テレビを観ている友哉は唐揚げを口に入れながら、気のない返事をする。
「……もう。聞いてないでしょ。」
私はため息をつきながら、娘のさくらの食事の世話をする。
もちろん合間に自分も食べながら、だ。
ゆっくり食べてられないのは母親の宿命なのだ。
「あやめー。俺、コーヒー飲みたいなー。」
夕飯を食べ終えた友哉がのんきに言った。
「もう!自分で淹れて飲んでよ!」
「はいはい。あ、お前も飲む?ついでに淹れようか?」
苦笑いして食器をキッチンに片付けながら、友哉が私に尋ねる。
「……お願いします。」
こういうところは相変わらす優しい。
「ママ。さくら、おちゃのむっ!」
さくらに目を移すと、ポットに入ったお茶を自分のコップに注ごうとしている。
「あ、ちょっ……!」
止める間もなく、重そうに持っていたポットを傾けた途端、コップに当たって倒してしまった。
「もう、さくら!何やってるの!?」
私は、慌ててテーブルにこぼれたお茶を台拭きで拭く。
「……。」
さくらはしまった、という顔をしながら私を見て固まっている。
もうすぐ3歳になるさくらは最近何でもかんでも自分でやりたがる。
さりげなく手伝おうとしても「じぶんでやる!」と言っては失敗も多い。
『成長の一つです。叱らずに、やりたい気持ちを伸ばしましょう。』と子育ての本には書いてある。
私も、そうするつもりだった。
でも実際は教科書通りにはいかないのだ。
「もう……!」
イライラしてる自分と、娘を怒ってしまった罪悪感。落ち込む毎日だった。
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