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第4話
動物になるとしたら、そうだ、鳥になって大空を飛ぶってのはどうだろう。とても気持ちがよさそうだ。
若者は、空を見上げた。
大きな鳥に追われて、小鳥がギャーギャー必死に逃げている。しかし、追いつかれてしまった。大きな鳥のするどい爪が小鳥をとらえた。
鳥の羽が一枚、ひらひらと若者の頭の上に落ちる。
鳥は……やっぱ、なしかな。そうだ、空は飛べなくても地上で、小さなかわいい動物になれば、平和でいいかな。
今度は、地面に目をやる。
小動物がエサにむらがって、小競り合いをしている。しばらく見ていると、その中にはちょっとしたヒエラルキーがあるようで、少し気の弱そうな個体は、はしっこの方でうずくまっている。エサを分けてもらえないようだ。
やっとみんなが食べおわったのをみはからって、おこぼれに駆けよる。が、他の個体が颯爽とあらわれ、残りものをも、うばっていった。気の弱い個体はそれをみて、呆然としている。
動物社会も、思いのほか動物関係でもめている。そもそも人間だって動物なのだから当然のことなのかもしれない。動物界はどの社会でも、なかなか辛そうだ。
結論、動物として生きるのは、なしだ。
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