#6 役割への信念と陥落

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半ば無意識なのだろう。焦らされて逃げられると尚更欲す、剥き出しの本能。 何度も空を切る彼からは、地団駄の音までも聞こえるようで。眉間にぎゅっと皺が寄る。呼吸が荒くなるのがいつもより早い。 うたかたの眠り。それを妨げられただけでこんな風になるなんて。あたしを起こすのは大抵彼の役割だから、なんだか新鮮だった。 「寝起きは感じやすいんだね?」 唇を人差し指でなぞりつつ、余裕を込めて耳元でささやけば、 「普通にやべえ」 素直すぎて吹き出した。 まだ目を閉じている彼からは、隠しきれない色香が漂い、あたしがこんな風にしたんだ、と思うとまた与えたくなる。 音を立てながらフレンチキスを繰り返す。というか、段々あたしが止まらなくなってきて。 Tシャツの下に手を滑り込ませる前に聞いた。 「抱いて構いません?」 ようやく瞼を上げた彼は、上気して答えた。 「構わないが、後でもう一度寝ろよ」 あなたが寝なければね、と皮肉るのはよして、ひと思いにむしゃぶりついた。 *
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