#7 「お前、どんな携帯小説を書いてんだ」

6/10
1725人が本棚に入れています
本棚に追加
/852ページ
「作り話と違うのは、痛くないってことだ。いつからこんなになっていた」 「聞きたい? なら、言わせなさいよ」鼻でせせら笑うと。 真顔で引き抜いた彼は、あたしの上から退いたと思えば。 「俺を怒らせたな」 あたしの上体を起こし、うつぶせにさせ、腰を持ち上げてがっちり固定し、って。う、そ、 「ひゃあぁあっ」 脳内ジェットコースター。 「ま、待って待って。やだっ」 「待たない」 いままでにない感覚。まさかのまさかでまったくついて行けてない。 顔が見えない不安。ソファーの布しか掴めないもどかしさ。 涙か汗か分からぬものが飛び散って、水色を青く染めていく。 「顔がっ、……あっ」いますぐ見たい。あのときにしか見せない神々しさ。艶っぽさ。 まともに喋ることすら許されず、言語化不能な叫びをあげ続け。 ものの一分であたしは達した。 神経が剥き出しになってる。 高速の波に二度さらわれて、鳥肌はとうの昔に立っている。 「ふっ……」 砂浜に打ち上げられたクジラみたいなあたしを引き上げる腕。 感覚が、定まらない。
/852ページ

最初のコメントを投稿しよう!