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「作り話と違うのは、痛くないってことだ。いつからこんなになっていた」
「聞きたい? なら、言わせなさいよ」鼻でせせら笑うと。
真顔で引き抜いた彼は、あたしの上から退いたと思えば。
「俺を怒らせたな」
あたしの上体を起こし、うつぶせにさせ、腰を持ち上げてがっちり固定し、って。う、そ、
「ひゃあぁあっ」
脳内ジェットコースター。
「ま、待って待って。やだっ」
「待たない」
いままでにない感覚。まさかのまさかでまったくついて行けてない。
顔が見えない不安。ソファーの布しか掴めないもどかしさ。
涙か汗か分からぬものが飛び散って、水色を青く染めていく。
「顔がっ、……あっ」いますぐ見たい。あのときにしか見せない神々しさ。艶っぽさ。
まともに喋ることすら許されず、言語化不能な叫びをあげ続け。
ものの一分であたしは達した。
神経が剥き出しになってる。
高速の波に二度さらわれて、鳥肌はとうの昔に立っている。
「ふっ……」
砂浜に打ち上げられたクジラみたいなあたしを引き上げる腕。
感覚が、定まらない。
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