#7 「お前、どんな携帯小説を書いてんだ」

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「なんの話でございましょう」 「とぼけるな。お前は、妄想に逃げる必要はない。満たされているからな」 凄い自信だこと。 羞恥にも負けて目線を泳がせていると、 「……宮沢だな?」 「いえ、あの」 「最初から分かっていた。いつ告白するか、待っていたんだがな」 完・敗。 「あの小説はね、紗優 さゆ さんが書いているの」 高校生が色んな男の人と付き合っては別れるお話。 読者でもあるあたしはよくやり取りをしている。 で、この前あたしが風邪を引いたとき、看病の合間もコントローラーを手放さなかったあなたのことを愚痴ると、 『これ、あんたが書いたことにして、マキからかったらええやん』 「で、焼き餅妬かせてみようと思って……」 因みに、あたしが書くのは愛犬ブログ。 「夫婦まとめてシバくか。来週、ショコラ預けて帰るぞ」 「やだ、待ってよ」 慌てたあたしを見て蒔田さんは微笑んだ。 「冷えたから風呂入るぞ」 答える間もなく引きあげる。両腕で。 「何故、顔を隠す」 「だって、すっ」ぱだかだし。 「違う所が丸見えだが、それはいいのか」 「もおお、やだっ」
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