1725人が本棚に入れています
本棚に追加
/852ページ
「なんの話でございましょう」
「とぼけるな。お前は、妄想に逃げる必要はない。満たされているからな」
凄い自信だこと。
羞恥にも負けて目線を泳がせていると、
「……宮沢だな?」
「いえ、あの」
「最初から分かっていた。いつ告白するか、待っていたんだがな」
完・敗。
「あの小説はね、紗優
さゆ
さんが書いているの」
高校生が色んな男の人と付き合っては別れるお話。
読者でもあるあたしはよくやり取りをしている。
で、この前あたしが風邪を引いたとき、看病の合間もコントローラーを手放さなかったあなたのことを愚痴ると、
『これ、あんたが書いたことにして、マキからかったらええやん』
「で、焼き餅妬かせてみようと思って……」
因みに、あたしが書くのは愛犬ブログ。
「夫婦まとめてシバくか。来週、ショコラ預けて帰るぞ」
「やだ、待ってよ」
慌てたあたしを見て蒔田さんは微笑んだ。
「冷えたから風呂入るぞ」
答える間もなく引きあげる。両腕で。
「何故、顔を隠す」
「だって、すっ」ぱだかだし。
「違う所が丸見えだが、それはいいのか」
「もおお、やだっ」
最初のコメントを投稿しよう!