#2 シーツの行方

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#2 シーツの行方

あ、シーツも洗わないと。 掛布団のカバーを居間で一人苦労しつつも外し、ベッドに近寄ると、 「寝てるのね」 魚市場に並ぶまぐろが一体。 「どいて」 「……」 「シーツ洗うから」 「……」 「起きてるでしょ」 「どかしてみろ」 薄い唇がやっと開いたと思ったら、これだ。 時折この人は意地となり止まらない。甘え方も容赦ない。 あたしは膝をついてベッドに身を乗りだし、彼の肩に手をかけて引きずるつもりだった。が、 「違うだろ」 肩にかけたあたしの左手首を掴み、あらぬ方向に持っていく。 「……!」 「来いよ」 答える間もなく彼の両手はあたしのセーターをたくしあげ、あたしに息を吹きかける。 「洗わないと」 「小学校のときに教わらなかったか」 彼はあたしのウエストを両手で挟み込み、あたしの位置を調整する。 「な……にを」 言葉と手と息だけで声が上擦る。こんなあたしの正体はきっと彼の前では丸裸。 「洗うまえに、汚せと」 嘘でしょ、と笑いたかったのに次の刹那、彼はあたしとセーターの間に顔を割り込ませ、軽口も叩けぬほどに貪り始める。呼吸が荒くなるのを感じながら、左手を下に割り込ませた。 *
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