#3 シンクに対する彼なりの見解

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頬を、壊れものでも触れるように撫でてくる手。にも関わらず、あたしがこう言うのには理由がある。 「平気なはずはない。無理はさせられない」 いえ、あなたの相手をしていること自体、既に無理があるんですが。 なにも答えぬ態度を肯定と受け取ったのか。軽々とあたしを持ちあげて、寝室へといざなった。 運ばれつつもあたしは、自分に言い聞かせる。 あんな風に優しい顔を見せたからといって、だまされてはいけない。あれは、 ――攻め立てる兆候だ。  * * * 「言え」 予想通りだった。 ベッドでうつぶせに寝かされ、腰の後ろに回された両手。片手一本で封じるのは彼。全体重をあたしにかけないところは優しさなのだが、 「食器を洗う神聖な場所を前にして、お前は何を想像した」 左後ろを無理に見させられ、拷問者とも言えなくもない目に捕らわれる。 「俺に、これからどうされると思ったのか。言ってみろ」 「その神聖な場所で口づけてきたのはあなた――」 言えなかった。 人差し指が突っ込まれた、からだ。
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