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#4 責任の所在
「この責任をどうとるつもりだ」
顎を摘ままれて上向かされる。あたしより20センチ高い世界。
「な、んの話よ」
「俺のアイス食っただろ」
うっ。
「俺が今日一日どんな思いで仕事してきたか分かってんのか。抹茶。抹茶だぞっ」
彼は異常な程の愛をハーゲン○ッツの抹茶味にそそぐ。
「買っといて一日我慢して翌日食べる。それを、どれだけ楽しみにしていたか」
一応、生まれは京都といったところか。
「……今、違うことを考えてることに対しても、反省の弁は」
読心術も使えるミラクルな夫。それより、
「手を離してよ」
「俺に離せだと。一体、お前は何を考えている」
「この場をどう切り抜けようかなーと」
「俺がお前を離せる訳がねえだろが」
「ですから。真顔で鼻血もんの台詞をさらりと吐くのはやめて頂けませんか」
「んなこたいい。なあ、知ってるか? お前の丁寧語は」
彼は顔を一気に寄せて、
「俺を誘うサインだ」
耳たぶを甘く噛んだ。
腰が抜けるかと思った。
脱力したあたしをすかさず支えに入った彼は、しかも、いきなり。
――舐めた。
「なっ、なにすんのよっ」
「抹茶の味がする」
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