お父さんなんか大嫌い!

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 私、自分で言うのもなんだけど小さい頃から可愛くてね。その証拠に皆から可愛がられたの。中でも私をこよなく愛でるお父さん。大好き!だったの。何故、過去形かって?それはね、豊年祭に連れて行かれたから。これだけの説明では勿論、全く訳が分からないわね。じゃあ、詳しく説明するけど、あのね、特に女の子に御利益があるってお父さんが言うから私ついて行ったんだけど、行ってみてびっくりしちゃったわ。私、乙女チックでとっても恥じらいがあるから説明しにくい事なんだけど、言わないと分からないから言うね。だ○こん、大根じゃないわよ、だ○こんよ。それを描いた幟を見てまずびっくりしちゃったの。それから拝殿前に行ってびっくりしたわ。だって祠にある珍宝窟という二つの玉と大きなだ○こんの御神体に向かってみんなが拝んでるんだもん。ばっかじゃないのって私、思ったわ。で、老若男女問わず顔が緩みっぱなしなの。すけべな地の性格が露骨に出ちゃってるのよ。ほんとにやんなっちゃう。でも、もっといやになることがあったわ。法被姿の男の人が大勢でだ○こんを象った御神輿を担いでたり、大きな小芥子みたいなだ○こんの木彫りを巫女さんが抱いて歩いてたり、法被姿の男の人がもっと大きなだ○こんの木彫りを持って女の人に駆け寄って行って女の人が喜んで触ったりして。で、あんた、手つき良いねえなんて男の人に言われて褒められたと思ってお礼を言う女の人がいたから恥ずかしくなんないのかしらって疑問に思っちゃった。でも触っておいて褒められて、ヤダーとか言って恥じらって見せるのも可笑しな話だし、ま、そもそも人前で喜んであんな物を触るのがいけないって言うか、どうかしてるのよ。どうかしてると言えば、撮影用のモニュメントのだ○こんに喜んで跨ったり座ったりしてる女の人や女の子。もう信じられない!そういう人たちってはっきり言ってみんなブスなのよ。ほんとにだらしない顔して喜んでるの。私は絶対あんな真似出来ないわって思ってたらお父さんが私の写真撮りたいからって美代子も跨ってみなさいなんて言うのよ。ったくデリカシーの欠片もないんだから!私、だ○こんの幟を見た時点で既にお父さんに嫌悪を感じてたんだけど、もう、ほんとにお父さんが嫌になったわ。そして極めつけはだ○こんを象ったち○こ飴!それをお父さんが買って来て甞めろって言うのよ!勿論、実際に甞めろとは言わなかったけど、私に無理矢理、与えようとするのよ。私、手に取るだけでも恥ずかしくって心底嫌だったんだけど、折角買ってくれたんだからと思って受け取ってポケットの中に入れちゃった。すると、お父さんったら今、甞めないのかいって聞くの。私が頷いたらとても残念そうな顔をしたわ。いやらしい。ほんとにいやらしい。いやらしさが顔に滲み出てたわ。もう、やだー!お父さん!もう大っ嫌い!全くどう考えても教育上、絶対よくないわ。何でだ○こんの祭りなんて始まったのかしら?何でこんなバカげたことを続けてるのかしら?調べたら、五穀豊穣や子宝を祈願するためなんだそうだけど、大人って子どもより考えることがアホなのね。それにしても日本人って普段、恥ずかしいと思っている事をみんなでやれば恥ずかしい事でなくなって楽しんでしまう可笑しな国民性があるのね。多分、個人よりも集団に重きを置くからだわ。つまり集団主義なのよ、きっと・・・これって怖い事ね。だって普段、悪い事と思っている事でもみんなでやれば悪い事でなくなって楽しんでしまう事になるじゃない。そんな事を帰ってからお部屋の中で考えながら私ったらここだけの話、ち○こ飴嘗めちゃった!おいしいおいしいって!お父さん、嘸かし見たかったでしょうね!うふ!
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