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まだ、空には星が降っていた。
高校生だった私は、どうしてタクのことを好きになったんだったろう。丁度三年前の今日、きっと身体中の勇気をもって告白した私は、どんな気持ちだっただろう。
結局、好きな理由なんてよくわからないし、もう、なくてもいいんだと思った。
理由だけで嫌いになれるなら、もうとっくになってる。
「嫌い」の証明は簡単なのに、「好き」の証明は難しい。だから、私はせめてこの二度と見ることもないかもしれない流れ星のお願い事を、タクのために使うことで神様ってやつに証明をする。
神様なんて信じちゃいないけど、祈るなら、叶うなら。
ただどうか──今も、未来でも、タクが幸せでありますように。
星が降りやむと、タクは絡めた私の手を引っ張って立ち上がる。そうして、手を繋いだまま歩き出した。
「……帰ろう」
囁くような小さな声。私のアパートへの帰り道に足を向けて、タクが当たり前みたいにそう言うのにわざとらしくため息を吐く。
でも、それがきっと、私が一番聞きたかった言葉だったから、声をあげて笑った。
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