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流れ星のお願い事は今、果たして叶っていただろうか。タクは、何を祈ったんだろう。
そんなことは、今はまだ分からない。
だからいつか、こんな日がちゃんと思い出になって、笑って話せるようになったときにまた、聞いてみようと思う。
きっと私はそのいつかまでずっと、タクのことを嫌いになれない。私たちは今日も明日も、不器用なカップルのままなんだろう。
でも、一つだけ変わったことがあるとするのなら、それは今日から私の家が、私達二人の家に替わることだけだった。
タクといると本当に不思議だ。つい数時間前までは別れようかとまで思っていたはずなのに、胸のもやもやが全然晴れなかったのに。
今はもう、それだけでこんなに、幸せだった。
家の玄関を開けたタクが、「お邪魔します」の替わりに、「ただいま」を言う。
私はそれに──「おかえり」を返す。
その日の夜、夢を見た。広い広い、宇宙にいる夢だ。
夢の中で私は悪戦苦闘しながらどこかへ向かっている旅人で、泣いたり怒ったりしながら、ただひたすらに何処かを追い求めていた。
タクは、そんな私のことを何十年も、いつも通りタバコなんか吹かせながら、ずっと、待っていた──。
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