オデッセイの旅路

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「──今度こそ、別れようと思うの」  来るたびに頼んでいるカフェラテを一口、口に含んで言う。  対面に座っていた友人は、私の言葉にまたか、みたいな顔をした。そうして実際にそれを口にする。 「また言ってる。そう言っていつも別れないじゃないの、リセは」 「今度こそ本気なの!」 「はいはい」  本当に分かっているのかいないのか、友人は適当に手を振って見せた。 「それで、今度は彼氏と何があったの?」 「特に何かあったとかじゃないのよ。むしろ、ないのが問題と言うか……」 「ああ、彼氏からの愛を感じないとか、そういうやつ?」 「そう、なのかな……。なんか、何で付き合ってるか分からないというか……。タクも、何考えてるか分かんないしさ」  「よく分かんないなぁ……」友人は首を傾げてブラックコーヒーを啜る。 「でも、そんなこと言って高校生の頃から付き合ってるんでしょ? 長いよね」 「それは、まあ……」  高校二年の時から付き合い始めて、今が大学二年生だから、丁度三年が経つだろうか。指折り数えてそういうと、友人は「長いなぁ」と繰り返す。  でも、こういうことがパッと出てこないのは、記念日とかそういうのを一度も祝ったことがないからだ。むしろ、タクに至っては付き合い始めた日だって覚えてるか怪しい。
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