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『丘で待ってる』
珍しくタクの方から来たメールには、日付や時間すら書かれていなかった。
丘と言うのが近くの公園のことだというのはすぐに分かった。その公園は二人でよく行く場所の一つだった。
公園と言っても木と草しかないような小さな公園だ。丘と言うのもその公園の中央にある小さな、ただ土が盛り上がっているだけと言ったような場所で、丘なんて呼んでるのは私達だけかもしれない。
メールを見た途端気もそぞろになりだした私の様子に呆れた友人に背中を押してもらって、慌ただしくカフェを出た。カフェを出ると、外はもう夕方だった。蝉の声に迎え入れられて、夜に向かって歩き出す。
期待は、しないようにした。
このまま公園に言ったってタクはいないかもしれない。だって、日付も書いてなくて実は一ヶ月後のことだったとか、タクにはよくあることなのだ。
だから、公園が近付いて、丘の上にタクの姿が朧げに見えた時は、心臓の音が世界中に漏れ出してしまっていないか心配だった。
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