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「っていうか松坂さん、ここ二課っすよ。一課のエースはあっちでしょーが。ここは俺みたいな叩き上げの巣なんで!」
「おお、こわ。こりゃうかうかしてると中島クンに成績抜かれちゃうかなぁ。僕も仕事がんばろーっと。じゃまた今度ね、佐藤さん?」
なぜか流し目で私に指先だけで手を振って、松坂さんはさっさと階段の方へ消えてった。
あたしが口を挟む隙すらない。
「っていうか佐藤も! もっと毅然として断れよ。あー、ムカつくあんにゃろ」
「いやなんかもうびっくりしてしまって反応できんかったわ」
「お前、葉山ユリカよりかわいいんだからボケっとしてるとああいうの、わらわら湧くんだよ。気をつけろ!」
怒られたことより「かわいい」の四文字で息が止まってしまってあたしは返す言葉が出て来ない。
「俺やっぱり考えたんだけどさ。どうせ女の子と付き合うんだったら、居酒屋とかファミレスで大爆笑できる女の子といた方が、人生って豊かになると思うんだ」
はあ。というか、ええと、はあ。
ぽけえっとしているあたしのデスクに手をかけて、中島くんがいつになく真剣な眼差しで言った。
そうしていると、中島くんはやっぱり憎たらしいくらいに美しい。
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