dropped

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 これで学院公認の助教授というのだから、学問の世界とは分からないものである。 「じゃあ、私は研究室に戻るから。気を付けて帰ってね」と校舎の方に向かう久ヶ原に手を振りつつ、千鳥は彼女が向かった方向とは反対の正門方面へと歩き始めたのだった。  足は止めないまま、千鳥はトートバッグからスマホを取り出す。ロック画面を開くと、画面上部にデジタル時計が映し出された。時刻は十九時を少し過ぎた所だ。  短大図書館の閉館時刻は丁度十九時なので、本当に朝から晩まであそこにいたのかと思うと溜め息を吐き出しそうになる。  ゴールデンウィーク最終日をレポートに追われて、しかもタイミングの悪いことに明日は一限から六限までみっちりと講義が詰まっている曜日。  今から気が重くて仕方がなかった。  とにかく今日は早めに休もう、と考えて千鳥はスマホのロックは解除することなくバッグに戻すと今度こそ正面を向いた。  違和感に気付いたのは、まさに視線を正面に戻したその時。視界を切り替えたその一瞬で、千鳥は思わず足を止めた。  日が落ちてから学院内を歩くことは、千鳥の場合はあまりない。
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