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「でも、それこそ科学的根拠? みたいなのはないんでしょ? 千鳥さんの代筆って」
「まあ……代わりにラブレター書いただけで告白が成功する理由、なんて証明のしようがないというか。言っとくけど、私は絶対成功しますって触れ込みではやってないからね」
「分かってるって。あくまでジンクス、おまじないみたいなものって言うんでしょ? 失敗した時の責任も問わない。でも、今のところ短大じゃ百発百中って噂だから凄いよお。実は魔力でも持ってるんじゃない?」
「そんなまさか」
長原の冗談めいた言葉に千鳥は笑って首を振る。
告白が成功している明確な理由を千鳥は知らない。
しかしそう大袈裟なものではないだろうと考えている。字が雑なラブレターよりも綺麗に書かれたそれの方が貰った側は幾ばくか嬉しい、とかそんな所だ。
「はい、出来たよ」
それから暫くして、ラブレターを書き終えた千鳥は便箋を長原に手渡す。
誤字脱字やおかしな点がないかを彼女に確認して貰いつつ、便箋と同じ薔薇が描かれた封筒の裏端に長原のフルネームを書き込む。
「相手の名前、なんだっけ?」
「ゆきがやいちか。ほら、メモの下に書いてある」
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