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朝から図書館に詰めていた千鳥と違い、久ヶ原は昼過ぎから来たのを見た。
しかし彼女の荷物は財布やスマホ等、必要最低限の貴重品や筆記用具を入れるミニバッグと、剥き出しのままのノートパソコンに書類が少し。
どう考えても図書館を訪れる前から研究室にいたのは明らかだ。
「明日から講義始まるでしょう? 色々準備があるのよ」
「休み前に出来なかったんですか?」
「貴女、教員の忙しさ分かってないわね? 中高の先生は休みすら碌に取れないくらいハードなのよ。私は大学だけど、研究や論文やりながら講義もしてるんだから」
「ああ、なるほど」
確かに、教員不足と言われている現代社会において教育に携わる人間への負荷は並大抵のものではないだろう。
千鳥はニュースで見た知識程度しか知らないので、それを理解したと言うのは少し軽率な気もするが。
ただ、高校時代に吹奏楽部の友人が『私達は休日でも毎日部活来てるのに、先生ったら昼過ぎに優雅な社長出勤かましてるの。ムカつくったら』と愚痴を零していたことをなんとなく思い出した。
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