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3か月で里子に出た長女に続いて長男も里子に行き、預かりを続けていた次男、末っ子も居なくなった。三毛猫は仔猫たちが減っていくたびに探し回って鳴き続ける。デメも早い方がいいかもしれない。三男坊は心臓に病気が見つかった。それでもかまわないという里親さんが現れるかもしれないが。
「母猫も里子に出そうと思うの。まだ2歳だし。避妊もしたし。ヘンな三毛だけど。顔は迫力というキツめだけど。捕獲した時からは考えられないくらいお愛想もするしさ。」
「あんたって酷くない?」
猫じゃらしを恐ろしい速さで上下させ、からむ猫を振り回していたマスク姿の友人の威圧は鼻づまり声だった。
「え。何が。」
何で怒っているの。
「一度飼ったのに手放すってことでしょ。見放すの?やっと懐いたのに?」
「え。」
「うう。もうだめだ。痒い。猫ちょー可愛い。痒い。やばい離脱する。じゃね!また里親候補連れてくるから。うー痒いー。鼻垂れる!」
猫アレルギー猫好きの嵐が去った。暴風女にかき回された頭の中は恐慌状態だった。
何かがひっかかって三毛猫を里子に出すのをやめた。そのひっかかりは数年先まで続いていつの間にかすっかり忘れ、三毛猫を喪って3年過ぎた今、思い出した。
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