猫を想う。ただ涙する。

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今朝の一杯で珈琲が切れた。 予定の無い休日。土砂降りの休日。不穏なニュースのラジオ。寝坊し1時間長く添い寝した白猫はご機嫌麗しく今は微睡んでいる。 雨で色変わりが目立つダークグレーのワンピは着れない。残念だ。伸びすぎた髪を軽く巻いてジーンズに履き替えた。 春に予約した海月を象った傘が昨夜届いたのでそれを手にでかけよう。思っていたのと違いブルーの生地で透明傘ではなかったけれど。ひらひらのカットが所在なさげで悪くない。壊れた孔雀模様の透明傘の代わりは別で探そう。3か月待った傘だ。ワタクシのハードルがあがっていたのは仕方ない、はず。だって一目ぼれしたっきり情報収集せずにポチっとカートにいれたんだもの。 アマビエのあみぐるみに挨拶し、出歩く先を考えていたら面倒くさくなった。化粧が終わる頃にはショッピングモールを諦め、駐車場でマスクを付ける頃には近所のドラッグストアと本屋だけで済ませる気分になってしまった。でかけるのを諦めなかったのは、次の休みは三毛猫(シロコさん)の命日。何もしない日だ。 本屋は雑貨も扱っている。コーヒーショップも併設されている。コーヒー豆さえ買えれば9割は大丈夫。ついでに退職する大先輩同僚にささやかなお餞別があったらいいな。ささやかさ、がポイントだから中々にむずかしい。前に扇子が欲しいと言ってたから香りのする扇子もいいかもしれない。あの時、うちで余っているからどうぞ、と彼女にあげた扇子は結婚式の二次会のおまけだった。扇子を使う夏になって、ワタクシを思い出してくれたら、ちょっと嬉しいなんて下心はある。毎年ちょっとだけワタクシを思い出してもらえるってよくない?いいよね。 本屋の夏コーナーで扱われていた扇子は若向き?斬新?フリルとかね。畳める扇子がさらに折りたためたり、うん、いいわ。無理にここで見繕わなくてもね。退職まで後2週間。あんまり時間はないけど。自宅知ってるし。ピンポーンって突撃したらいいだけよね。
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