君の声が聞こえる

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君の声が聞こえる

 朝いちばんのバスに乗って、君と海に行った。綺麗だね、と隣を見れば、そこには誰もいない。ぎゅっとつないでいたはずの手を開けば、君の爪と同じ色をした桜貝がぱらぱらと砂に落ちた。  砂に落ちていた耳の形の巻貝からは、君の寂しげな泣き声が聞こえる。
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