人魚の歌声

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人魚の歌声

 海で小さな人魚を捕まえた。  瓶に入れて連れて帰り、水槽が届くまでと浴槽に放した。光の髪と海の瞳。煌く鱗は虹色で、うっとりと眺める。  はたと気づけば、いつしか歌声が耳に打ち寄せ、僕は浴槽の底から天井を見上げていた。ぽかりと口から泡が立ち昇る。そうだ、セイレーンは人を溺れさせるのだった。
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