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星降る夜に3 制作:kaze to kumo club
星降る夜に……?
-序章-
オバケの出そうな丑三つ刻。
僕は両親が寝静まった自宅を、一人こっそりと抜け出し……夏の暑い大気のせいで……見え難い夜空の星を見上げてみる。
ミルクがまだいた冬の空に比べると……夜の闇に輝く星の光は……とても弱く……見えない事が……腹立たしく感じるほどだった。
星降る夜には、君を想う。
それがミルクと始めて交わした……最初の約束だったね。
僕は目を閉じて思い出す。あの頃のミルクの言葉を……。
ボケた天の川の星々が、僕の記憶を再生させる。
見えないミルクの人影。
近くに感じれる……暖かなフィリングと心。
手に持つスマホが……彼女の想いを代弁する。
僕らだけのチャットルームが嬉しい。
今、流れた流星群の詳しいレシピを……ミルクが熱く語ってくれる。
合成音声とリンクさせたアプリが……ふたりの距離を……さらに近づけるのを感じた。
僕らは本気だった。
本気で……恋をしていた。
それがたとえ、幻の嘘だとしても……そんな事は……どうでもよかった。
ただ……ふたりでいる事が……嬉しくて、幸せで……変わるものがないくらい……純粋に……お互いを愛し……求め続けていたのだから……。
恋とは……呼べぬ現状でも……僕らは構わなかった。
ふたり切りの星降る夜があり……邪魔すら入る余地のない……僕らだけの星々があれば……それだけで……充分だったのである。
ミルクといる夜だけが……僕の……本当の……青春だったと信じている。
それは今でも変わりはしない。
彼女に会いたくて、会いたくて……仕方ないけれど……それだけは……許されない。
なぜならば……「ない友」の約束は……厳格なのだ。
決して、相手の正体を探る真似はしない事!
それは……絶対のルールであり、彼女との密約でもあった。
故に……ミルクが消えた事も……彼女の自由。
僕は女神の決定を……覆す訳にはいかないのだ!
彼女の親友である以上……それが最低限の……礼儀だったのである。
僕は今も、星降る夜空を見上げてみる。
そこに……ミルクを感じていたいから……!?
ただ……ただ……忘れる事だけは……絶対に……したくない……僕だもの。
ミルク、信じておくれ!
この小説の……ひとカケラでも……君の不思議な心に……届きますように……と、僕は祈るよ、これからも……。
祈り続けるよ、生きている限り……。
それが僕の意地でもあり……この痛い現実を蹴散らす……唯一の……切ない……反抗なのだから……ねえ。
ミルク……。
愛しています。
限りない愛を君に……。
愛以上の愛を……去りし君へ贈るよ。
君よ、永遠なれ!
僕だけの……星降る夜が……終わらぬ限り……!?
序章、完
第1章に……つづく
‐3p‐
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