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きら、きら、きら。
「うわあああ、綺麗ー!」
思わず私は歓声を上げていた。
幼い頃見上げたのと、全く変わらぬ夜空。まるでプラネタリウムを見上げているかのような満天の星空は、都会ではまずお目にかかれない代物だった。
「すごっ……うわああ、こんなに凄かったんだ、モモイ山の空!うっへー……」
「那々美、はしゃぎすぎ。子供か!」
わいのわいのと声を上げる私を見て、呆れた声を上げたのが将だ。その向こうには、すでにシートを引いてごろんと横になっている景と百華の姿もある。
私、那々美。それから将に景、百華の四人は幼い頃いつも一緒に遊んでいた仲良し四人組だった。今は大人になって、それぞれ東京で別の生活があるが。子供の頃こっそり家を抜け出して遊んだ、この場所のことを忘れた者は一人もいなかったことだろう。
都会にはない、田舎だけの優しい空気。
くすんだ空ではけしてお目にかかれない星の数々と、童心に返してくれる仲間たちの存在。
小学校卒業と同時に離れ離れになってしまった四人が、こうして奇跡的に再会できたのである。思い出の場所で、お酒でも飲みながら盛り上がろう!となるのは必然であったことだろう。
『ねえねえ、ななちゃん!私の夢は、お金持ちのお嫁さんになることだけど!結婚しても子供ができても、ずーっとこの場所のことは忘れないんでおきたいんだよね。大人になってもみんなで集まって、わいわい騒げるような関係でいたいなー』
そんなことをかつて話してくれたのは、確か百華であっただろうか。
上京してからはそれぞれの生活で忙しく、集まるどころかほとんど連絡さえもままならない上京だった。この土地に一人残ることになった百華はどれほど心細かったことだろう。
今、奇跡のように、あの頃のメンバーがもう一度集まった。あの頃と同じ星降る夜、こっそり抜け出した幼い頃と同じようにシートの上で寝転びながら。
「残念ながら、流星群の時期は終わっていまったわけですがー。……それでもこんな星見られるだけで儲けものってやつだよね。プレネタリウムでさえ、子供の頃に行って以来だもん」
早々にビールを開けてしまった将以外は、仲良くシートでごろにゃん態勢である。寝っ転がっておつまみを食べるなんてはしたない!と一児の母親としての自分は思うわけだが。今は娘も実家に預けているし、ガミガミマナーを言ってくるような輩もいない。完全に無礼講だ。転がりながらポテトチップスを食べ、星空鑑賞をするなどなんと贅沢な時間であることか。
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