赤口のジャズ

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「おい、これはなんの冗談だ」 リビングにて。俺は腕を組み眉間に皺という皺を寄せて、ソファに並んで座っている父親と幼馴染に低い声で問い詰める。 「冗談?父は本気だぞ」 「……ミィは?」 「私も、かな」 「だらっしゃあああ!おかしいだろ!なんでよりによってミィと結婚すんだよ!ミィと俺は同い年じゃねぇか!っていうか誕生日、俺の方が先だろ!?」 「そういう問題か?」と冷静なツッコミを入れる親父に「うるせえ!ハゲ!」とキレたら、瞬間、ぶっ飛ばされた。ちなみに親父はフサフサ黒髪だ。 「まぁ落ち着け、カズキ。愛ってのはな、そういうものなんだよ。なぁ、ミィちゃん」 「は、はい」 「ごめんな、ミィちゃん。こいつまだ彼女できたことない××だから愛ってもんが分からないんだよ」 「あー!うるせぇ!ハ……ごほん」 2度目は確実に死ぬと思い、言葉を飲む。だけど納得いかない。親父はお隣さんのミィのことをつい最近まで「娘のように可愛いくて仕方ない」と言っていた。それがなんで急に結婚なんだよ。 「おい、ミィ」 「ん?」 「おじさんとおばさんはこれについて、なんて言ってんだよ」 一縷(いちる)の望みを託して聞いてみる。うちのファンキークレイジークソ親父と違って、ミィのおじさんとおばさんは良識の塊みたいな人だ。なぜこんなアホ親父と仲良いのか未だに謎だ。 「うん、2人とも大賛成だったよ。カズ君が息子になるの楽しみだ、って喜んでたかな」 俺の膝と肩が重力に負ける。オーアールゼットって知ってるか。今、俺はその状態だよ。しかも息子じゃねぇし。親父と結婚したら俺、孫だし。
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