大人女子の苦悩

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大人女子の苦悩

大人女子たるもの、 目の下にくまが出来ようが、 鼻の頭に大人ニキビが出来ようが、 投げやりになるわけにはいかない。 だって、大人だから。 仕事があるから。 そうやって、自分に言い聞かせていつもやり過ごして来た。 それでも、仕事で成果をあげられれば、まだ報われる。 今日みたいな結果だと、さすがに落ち込まずにはいられない。あまりの不甲斐なさに、ただただ自分が嫌になる。 なんだか胃のあたりがもやもやするなぁ。 夕食時だというのに、そういえば食欲もない。 体調不良って、自覚し始めると止まらなくなるんだよね。 うん、やっぱり熱っぽい。 というよりこれ、確実に熱出てるな。 あー。 プレゼン終わった後にガクガクしてたのって、緊張後の脱力感じゃなかったんだ。 そうと気付いてしまったら、もう一刻も早く家に帰って横になりたい。 見慣れた駅に着いて、 いつものように人の波に乗って改札口を出たところで、急激な眩暈に襲われた。 「あっ!」 力ない足元が、わずかな段差につまずきよろけた瞬間、 「大丈夫ですか?」 力強い大きな手が、私の左腕を掴んで支えてくれた。 おかけで転倒するという最悪の事態は避けられた。 だけど、もう、それが限界だった。 「あの…大丈夫ですか?」 もう一度、 助けてくれたその人が遠慮がちに聞いてくるけど、無理してでも答える言葉が出ない。 「…っ、すみませ…」 ようやく絞り出した声は、我ながら危機迫ったか弱さだった。 少し間があった。 「あの、ちょっと支えますよ。多分大丈夫じゃないと思うんで。あそこのベンチに座りましょう」 温かい手のぬくもりが、そのまま私の背中に添えられ、言われるがままよろよろとベンチに移動する。 「ちょっとここ離れます。そのまま座ってて」 親切な声の主は、そう言うとどこかに走って行ったようだった。 その姿を見送る余裕もなく、私はベンチの背に重いからだを預けた。
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