13人が本棚に入れています
本棚に追加
/59ページ
送り梅雨〜荒川美桜〜
好き、って気持ちはいつ生まれるんだろう? 姿を見るとドキドキして、声を聞くと胸がきゅっとして。そんな風になったきっかけ、全く覚えてないのに。
小嶋くんを見ると自分の体温が上がる。小嶋くんの声を聞くと、他の音が全部消える。話しかけることなんかできない。その姿を目で追うことしか……。
男子と普通に話せる咲良だったら、こんな風に意識することなく小嶋くんと話せるんだろうか?
まっすぐ見ることができないくらい、眩しい彼。成績優秀、スポーツ万能。明るくてユーモアがあって、背が高くて。目立たない私のことなんか眼中にないだろうな、ってずっと、遠くから見るだけで満足してた。
その彼と初めて話したのは、そろそろ梅雨が明ける、という頃だった。
最初のコメントを投稿しよう!