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数十秒後。見事な紅葉型を頬に作り、心なしか笑みを引きつらせながらチャラ男は言った。
「まずは核を探そう」
「なにそれ?」
数歩先を行くチャラ男が振り返る。
「どんな夢にも、夢を形成する上で核が生まれる。それを壊さないと夢が食えないんだよね」
そう言いながら、チャラ男はきょろきょろと周囲を見回している。チャラ男に倣って周囲を見回してみるが、相変わらず見えるのは例のスプラッタな光景だけだ。
「特徴とかないの?」
「特徴──?」
チャラ男は一瞬何かを思案したようなそぶりを見せた後、わざとらしく人差し指を立てた。
「ちがうもの」
「え?」
「この夢の中で明らかに他とちがうもの。それが核だ」
ちがうもの、とは。
そんなえらく抽象的でわかりにくいもの、見つかるのか? そう思いつつも、黙々と核なるものを探し続けてみたが、それらしいものは一向に見つからないままかなりの時間が経った。
「やばいな」
チャラ男がぼそりと呟いたのを私は聞き逃さなかった。
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