短編集~プリズム 夏の初めの星月夜

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 「おばあちゃん、来るって言ったら喜ぶと思うよ。普段一人だし。  それに、この空、また一緒に見たいな」  甘えるように言うと、彼は笑みを浮かべながら私に寄り添ってきた。二人一緒に空を見上げる。  明るい夜空から、筋を引いて星が流れた。  「あ、流れ星」  願いごとを言う前に、あっという間に消えてしまう。でも、銀色の糸を引くような輝きを見るだけで幸運だと思う。  「ここだとよく見えるね」  「うん」  降るような星空に包まれて私たちは、お互いの温もりに、ささやかだけど心からの幸せを感じていた。                                 おわり
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