短編集~プリズム 夏の初めの星月夜

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 挨拶が終わって三人で畑に向かうと、モンシロチョウやトンボが飛び回っていて、簡単に捕まえられそうだ。子供の頃は、夢中になっていろいろな虫を探していた。  畑の脇には小さな池があって、春になるとオタマジャクシが泳いでいて可愛い。  少し奥に入ると小川が流れている。家の水は、その川から引いていた。なので、川の傍に行くことができる。小さい時は、さらに上流へ行こうと頑張ったこともある。  結局は無理だった。街の中にある下流とは比べられないほど速く流れる川は、驚くほど澄んでいて、長く足を入れていられないほど水温が低かった。  ここは、なんでもあった。  私にとって、この場所は楽園と同じ。
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