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戻ると彼女が布団に包まっていた。白い掛け布団の海の中、安心しきった表情で微睡む彼女がいる。
不意にまた、あんずジャム付きパンに似た白猫のことを思い出した。そっと布団に滑り込み、彼女のうなじに鼻を付ける。
「甘えてる」
くすくす笑って彼女が俺を抱きしめる。
「そっちだって」
言い返して頬を撫ぜると、彼女の顔をじっと見つめた。視線を感じた彼女がそっと目を開き、見つめ返す。
「どうしたの?」
「……いや、ちょっと反省タイムっていうか」
「反省?」
「なんか俺、ねちっこくないか? と思って。振り返るとどうもしつこく舐め過ぎている様な気がする」
「はぁ」
なんと返していいのか分からない表情で、彼女が相槌を打つ。確かに突然反省タイムに入られたら、戸惑うだろう。
ただ、なんだかこのタイミングで確認したかった。多分俺、これからもずっと彼女を見れば、あんずジャム付きパンを連想するし、うなじの匂いを嗅ぎたくなるし、舐めて堪能したくなる。
自分が思うよりももっと真剣に、彼女のことを見つめていたらしい。最初は戸惑うばかりの表情だった彼女の瞳が揺れ、そのうち何故か顔が赤くなってきた。
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