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二人だけの関係が、ここに至って両家への紹介から始まり、色んな人を巻き込んでの社会的なものとなる。面倒な決めごとや外部からのちゃちゃ入れ、お互いの認識のズレからの大喧嘩。事務的作業。不安と期待。そんなものを乗り越えて、私達は晴れて結婚式の日を迎えた。って、晴れて?
ホテルの控室、窓ガラスから見える景色に息をつく。曇った空から雨が降っていた。
「失礼します」
コンコンと扉がノックされて、係の人から呼びかけられる。
「新郎様がいらっしゃってますが、お通ししてもよろしいですか?」
そう聞かれて、隣に立つスタッフさんを仰ぎ見た。
「お支度は終了しましたので、私達はこれで」
「あ、ありがとうございます」
にこやかな笑顔のまま去っていかれ、私だけとなった控室に彼が入ってくる。ゆったりとした歩幅。スラリとした手足に、タキシード。私の好きな彼の独特な間合い。
「綺麗だ」
私が口を開く前に、彼に先に言われてしまった。
「そっちこそ」
やっぱり背が高いと、フォーマルって映えるんだなぁと、つい見惚れてしまう。
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