01 - オムライス

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 親戚でも、友達でも、恋人でもない──ただ偶然、アパートの部屋がお隣同士だっただけの私と彼。  そんな私たちが、ひょんなことから交わしてしまった、とある約束。  それは本当に単純な口約束で、 「毎日一緒に晩ご飯を食べる」  という、ただ、それだけ。  どうして私たちがこんな約束をすることになったのかと問われると、どこから説明すればいいのか少し迷ってしまう。けれど私たちは本当にただの他人で、お互いのことを全然知らなくて、これからもきっと、それ以上も以下もない。と、思う。  そんな私の独り言に、これから少しばかり付き合ってはくれないだろうか。もちろん彼の作る美味しいご飯のことも、たくさんお話したいと思っているから。  私はふんわりとろける黄金の輝きに銀のスプーンを差し込み、デミグラスソースと絡めて、ゆっくりと口元へ運ぶ。そしてまた繰り返すのだ、いつもと同じ台詞を。  きっと彼はまた、照れてしまうんだろうけど。 「うーん、美味しい!」 「……何度も言うなよ、分かったって」  . 〈本日の晩ご飯/オムライス〉
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