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足の長さを鑑みるに足手まといなルトを小脇に抱え、家と反対方向へ走り出そうと腰を上げるが、ルトの指差す家の方へ少しだけ振り返る。
家の中から光の線が伸びて大男の頭部へ命中し、衝撃でなのか大きな体躯が仰け反った後、そのまま地面へ倒れ込んだ。
抱えられたままだったルトが、力の緩んだイオの腕から飛び降り隣へ立つと、二人で呆然とその場に立ち竦む。
倒れた大男の横を、何人かの人影が通り過ぎ、深い森の中へ消えた。
先に我に返ったルトが、少し離れた所へ駆け出し、何かを拾ってイオの元へ駆け寄る。
「鞄あって良かった。ねぇイオ君、今のうちに僕達も逃げようよ。」
袖を引かれイオも我を取り戻すと、二人は作られた道を外れ、木々の中へ紛れ込んだ。
後ろを振り返りつつ獣道を走り抜け、大きな岩の影で腰を下ろす。
「とりあえずどうやったら帰れるのか考えようぜ。やっぱあれ倒すのか。」
「でもさっき何かで撃たれてたよね。あれで死んじゃってるんじゃないかな。」
ルトの言う事も一理あるが、それなら既に元の世界に戻れていないとおかしい。
とすれば大男はまだ生きていて、この冒険譚が継続していると考える方が、不本意ながら納得がいった。
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