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「あ。」
イオが聞いた者を不安に陥れる一文字を最悪の瞬間に呟き、その言葉を最後に三人が部屋の中から消えた。
再び全員が目を開いた時には、室内とは似ても似つかない、かといって村でもない場所に揃って放り投げられる。
ガットがいち早く立ち上がり周囲を見渡すも、ルトどころか生き物の気配が全く感じられなかった。
耳を澄ませ鼻で風の匂いを嗅いでいたイオも、何の成果もなかったのか残念そうに首を振った。
「つうかお前、その格好でも耳と鼻利くのか。」
イザの指差す方向には、誰よりも長身の見目が整った青年が立っている。
「ん?うおっ、全然気付かなかった。なんか目線が高いなと思ったんだよな。」
自分の姿を足先からなぞり、イオが驚いて声を上げた。
「さすがに気付けよ。今からそんなんじゃ先が思いやられる。」
呆れたイザに誤魔化し笑いを浮かべたイオは、周辺を歩き回るガットを呼び寄せる。
「ガットさん、なんか見つかったのか?ていうかここどこなんだよ。」
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