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全員が自分の前後左右を見渡すが、本の中といえども誰もこんな場所を訪れた事がない。
草木もまばらにしか生えておらず、視界に入るのは転がる岩と地平線まで続いている荒れた大地だ。
「本でルトさんがいたとこと、違う。」
本でルトが彷徨っていたのは、どこにあるのか分からない洋館らしき家の中だったとイオは記憶している。
「そうだな。あいつがいたのは少なくとも外じゃなかった。」
イザの言葉で自分の記憶に確信を持ち、イオはその洋館を探そうと歩き始めた。
「そういえば、イオはさっき何を言おうとしたのかな。」
ガットが探索の前に気掛かりをイオへ尋ね、自分がそんな事を呟いたのも忘れていたイオは暫し考え込む。
「思い出した。俺達何の準備もしてなかったけど大丈夫かなって思ったんだ。」
「ほぅ。」
思い出せた事に満足したイオが笑顔になるが、話を聞いたイザがその笑顔の頭を軽く叩いた。
「何すんだよっ。なんで俺が叩かれなきゃいけないんだ。」
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