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だが先頭を担ったとはいえ、ガットも特に目標があるわけでもない。
ここに来たのはルトを見つけ出し連れて帰るのが目的だが、何を目指せばいいのか考えながら取り合えず歩いている。
「どうしようか。せめて何か武器になる物があればいいんだけど。」
回答を期待せず振り返ったガットの目に、丁度地面に落ちていた太い枝を拾うイザが映った。
「無いよりはましだろ。」
得意気に素振りをするイザを見て、イオが周囲を見回し似たような枝を発見し駆け寄る。
「無いよりはましだな。」
イザの真似をして枝を振るイオに、ガットは少し緊張していた神経が緩んだ。
自分の足元にあった手頃な枝を拾い上げ、当面の武器として握り締め再び進行方向を向く。
「なぁ、そもそもここにルトさんいるのか?俺達ちゃんと同じ場所に来たんだよな。」
不安気なイオが隣を歩くイザに囁くが、励ましとは程遠い返答をもらい受けた。
「その事を考えるのはやめろ。今俺達にできるのは歩く事だけだ。」
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