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イザはすぐに頷いたが、イオは少し迷い、ガットの顔色を窺いながら頷く。
本音は行きたくないのだろうとガットは気付いていたが、あえてそ知らぬ振りをして進み始めた。
身を隠せる物陰も今は無く、手元には頼りない木の枝しかない。
しかし何かの襲撃を受けたような場所へ行けば、ルトの居場所は分からずとも武器の一つくらいは手に入るかもしれない。
イオの聞いた数々の音は、もしかしたらこれから行く場所に惨たらしい状況を作り出している事もあるだろう。
頷くのを躊躇ったのはそれが理由なのは、ガットも分かっていた。
ガットはイオにその場面を見せないよう配慮する気は勿論ある。
だがその対象に同情する気は、どんな場面を目にしたとしても微塵もする予定はなかった。
ガットの気にしているのはこちらに降りかかる危険だけで、悲鳴が消えたのなら事態の収束した証であり、その確率はぐんと下がる。
だからこそ現場に行く決断を下したのだが、念のため警戒だけは緩めずにいた。
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