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「じゃぁ皆で行こうぜ。なぁってば。」
遠くの背中にイオが叫ぶと、少しだけイザが振り返る。
「いらん。俺は手分けって言ったんだ。お前等は一緒にどっか見てこいよ。」
それだけ告げたイザは、再び背中を向けて歩き出した。
「ガットさん、どうしよう。」
ガットはイザの奔放な行動に不安はあったものの、彼の言葉を信じ暫しこの場で待つ事に決める。
「少し待ってみよう。戻ってこないようなら追い掛けてお説教すればいいよ。」
軽い口調でイオの気を紛らわすが、本心は今すぐにでも追い掛けたかった。
だがイザの頑なな性格からそれをしてしまうと余計に遠くへ行ってしまう可能性がある。
ある程度彼の好きにさせてやり、時間をおいて宥めた方が効果的なのを過去の経験から学んでいた。
上手く案内役を務められなかった事でも落ち込んでいるイオの手前、微笑みを絶やさないように意識する。
他愛もない話を振っているうちに、段々とイオの顔にも笑顔が浮かんできた。
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