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そして足を止めて思い出したのは、その何かがいたとされる方向へ向かったイザの事だ。 あの場からイオを遠ざけるので必死だったガットの脳内が、嫌な予感と光景で埋め尽くされる。 「ガットさん、イザ大丈夫かな。」 イオの不安そうな顔が、同じ表情をしているだろうガットを見つめた。 「大丈夫、って信じたい。いや、イザならきっと大丈夫だよ。」 無理矢理出した明るい声は、イオにではなく発したガット自身に強く言い聞かせる。 しかし言葉では何とでも言えても、それを証明するには自分とイオを危険に晒す必要があった。 イオが威嚇し、ガットが危機感を感じ逃走した相手のいる方角へ再度向かわねばイザとは出会えない。 暫し俯いて考えた後、ガットは意を決して顔を上げる。 「もう一度行ってみよう。イザを追いかけるにはそれしかないしね。」 ガットの主張は理解できるものの、おいそれと乗る勇気がイオはどうしても出せずにいた。 「もし、怪物とか出てきたらどうするんだ?」
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