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なにかそれなりの武器さえ持っていれば、ガットがいるだけで百人力でありこれから行く方向へ向かうのに不安など生まれなかっただろう。 しかし今ガットの持っているのは一発叩き込めば折れてしまいそうなただの棒で、イオも同じ物を握っていた。 これ以外に武器になる物など転がっている石ぐらいしかなく、最悪そこら中の地面から調達する羽目になる。 イオが考えられるのはその程度だったが、もしかしたらガットには誰も思いつかないような秘策があるのかと希望を抱いた。 「怪物に会っちゃったら、全力で逃げよう。」 力強く宣言したガットに、イオは自分の寿命の足音が先に聞こえたと錯覚する。 だが、イオに聞こえた足音は寿命でも錯覚でもなかった。 あまりのガットの無策っぷりに眩暈がしたのかと思ったが、そうではなく現実で地面の揺れを体感している。 さきほど理性より先に本能で威嚇した時よりも近く、ガットを見るが彼の視線とイオの視線は違う場所を向いていた。
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