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ガットはイオの背中の更に向こうを凝視しており、イオが見ているのに気付いて初めて目を合わせる。 「イオ、驚くなら今のうちに驚いておいて。僕が合図したらすぐ走るよ。」 振り向きたくはないがガットに促され、首だけを恐る恐る背後へ向けた。 悲鳴を上げる準備は万全だったが、あまりの驚愕に吐き出そうとした驚きの声は喉の手前で動きを止める。 イオの二倍はあるだろう背丈の巨大な人型の化物が、自分達のいる場所に向かってゆっくりとだが着実に近付いていた。 話の通じる巨人ではなく、恐らくだが灰色に近い肌の色と、人間離れした屈強な体躯から察するにオークやトロル等の類だろう。 醜悪と言っていい表情からは感情を読み取れず、見つかれば手に握っている棍棒でこちらに攻撃を仕掛けてくる筈だ。 「もうびっくりは十分かな。イオ、あいつの脇を抜けて真っ直ぐ行こう。絶対止まっちゃ駄目だよ。」 ガットに肩を叩かれ、今自分のするべき事を理解したイオが真剣な表情で頷く。
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