17人が本棚に入れています
本棚に追加
【AXE】
「イオくんおはよう。」
「なぁ、早いにしたって限度があるだろ。」
朝日が昇って間もなく、眠気と眩しさで薄く開いたイオの目に見たくなかった満面の笑みが映る。
寝床にかかる重みで、昨夜見た悪夢がまだ続いているのだと錯覚した。
昨日からの熱が明らかに冷めていないであろうルトのはしゃぎ様に、自身の離脱を諦めて半歩後ろをついて行く。
「楽しみだね。かっこよく魔王とか倒せたりできたらいいね。」
「別に。」
熱量の違い過ぎる二人は誰もいない草原に着くと、腰を下ろし例の本を広げ、向かい合って覗き込んだ。
「なんかね、行きたいページの上に、行きたい人と一緒に手を置けばいいみたい。」
昨夜扱い方を学習したのか、今日は付属の紙を置いて本のみを持ってきているようだが、本を取り出してもルトの鞄は、未だ限界値まで膨らんでいる。
「一応ね、何があるかわかんないからさ。色々持ってきたんだ。偉いでしょ。」
鞄を見つめる視線を感じ、得意気に説明するも返事はなく、ようやく開いたイオの口からは、溜息しか出てこない。
「わかったよ。しょうがないからイオくんに選ばせてあげる。順番だよ。」
一方通行の会話を聞くだけに留めていたら、何故か選択権を押し付けられた。
最初のコメントを投稿しよう!