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次の日の同じ頃の夕刻も、娘は同じ店の裏手にいた。
人間に姿を変えた悪魔はほくそ笑み、わざと娘に見えるよう少しだけ姿を見せる。
「ま、待って…!!お願いです!」
気付き必死に追おうとする娘を尻目に、悪魔はまた嘲るように姿をくらました。
そして娘が近くまで来たこと、人目がないことを確認し、変身を解いた。
「あ…!!」
追ってきた娘は悪魔に気付く。
「遅いから迎えに来てやったぞ。何をしている」
「あ、あの……」
澄まし顔で尋ねる悪魔に、娘は言い淀む。
「逃げたのか…?」
悪魔はわざと低い声で、怒りを含んだように問う。
「違います!!あの…知っているかもしれない人が……」
「そうか、そいつに会うためにここに。俺との代償を放棄しようとしてまでか?」
更にわざと冷たい口調のまま続ける。
「違うんです…!」
「そいつに、見せつけてやるか。ここは他に誰も来ないようだからな。お前が男に嬲られて、感じる様をな…」
悪魔はいつも通り娘の手を縛ると、どこからともなく出した厚い布で娘の目を覆った。
「や!やめて…!!」
悪魔は声も出さずに笑うと、娘を掴みそのまま音を立てずに二人の体を霧に包む。
そして娘に知られぬまま屋敷に移動した。
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